バレエ 白鳥の湖

ロシア・ボリショイバレエの5年ぶりのロンドン公演があると聞いたため、8月4日の夜の公演を、コベントガーデンのロイヤルオペラハウスに、聞きに(見に?)いってきました。演目は、古典中の古典、チャイコフスキーの「白鳥の湖」です。大変によかった。すばらしいものです。
私がバレエに行く?と疑問に思われた方があるかもしれません。実は、数年前に、さそわれて、バレエをはじめてロイヤルオペラハウスのよい席で見ました。やはりチャイコフスキーの「眠れる森の美女」でした。
これが、私にも意外でしたが、大変によかった。音楽と、踊りと、そして美しい衣装とがマッチして、2時間以上の上演が、退屈どころか、あっという間でした。チャイコフスキーの音楽は、以前から、華麗な音というか、音があざやかな印象である曲が多いと気がついていましたが、その理由も、はじめてわかりました。チャイコフスキーの曲は、バレエの曲でなくとも、バレエの曲のような発想でつくられていて、そのために音があざやかなのだと(素人考えです。間違っていたらご容赦のほどを)。そのとき、チャイコフスキーの有名な曲なら、またいってもよいな、と思いました。
この7月下旬に、こちらのバレエ通のKさんと話していると、ボリショイバレエが公演しているとのことを聞き、「白鳥の湖」もやっていると聞いて、さっそくチケットを買いました。平場(orchestra
stall)の前から5列目の真ん中あたりで、82ポンドもする席です。
「白鳥の湖」は、あまりに有名で、初演130年前以来、ストーリーや振り付けや配役の有無などのちがう各種のバージョンがあり、主なバージョンでも10もあるそうです。とくに結末が様々で、旧ソ連の時は、ソ連政府当局の指導により、ボリショイバレエは、王子と白鳥が最後に結ばれるハッピーエンドで上演されていたそうですが、今回の版は、100年前のストーリーを復活させたもので、悲劇で終わるストーリーでした。しかも、白鳥は死に、王子はなすすべもないという、あっけない終幕のストーリーでした。
「白鳥の湖」を20回以上は見たというKさんによると、このほかにも、王子と白鳥が心中するバージョンとか、ハッピーエンドにも様々な違いがあるとのことでした。
今回、私がみた時に感じたことを一つだけ記すと、「白鳥の湖」は、案外と、男性ダンサーの踊りの見せ場が多いことと、踊りのレベルが非常に高いことでした。 開演早々に、主役の王子の踊りがありますが、ジャンプしたときに、空中で止まっているかのようにみえたのには驚きました。もちろん、目の錯覚ですが、そのようにジャンプする技術があるのだということが、よくわかりました。また、劇の途中で「道化」役がスピンをくり返す場面がありましたが、その早さと正確さは驚くべきもので、拍手の音も大きかったように思いました。バレエダンサーの男性は女性の「ささえ役」だと思っていましたが、考え方をあらためなければなりません。ちなみに「道化」役のないバージョンもあるとのことです。
つぎはチャイコフスキーの「クルミ割り人形」です。クリスマスシーズンに上演が多いとのことですので、本年暮れに、是非、みたいと思います。