ギャラウェイ議員の再選
またまた、更新を怠っていました。
そこで、旧聞に属しますが、5月5日におこなわれたイギリス総選挙の一つの焦点について、書きます。それは、ジョージ・ギャラウェイ議員が再選されたことです。
彼は、労働党左派リーダーとして、ながくスコットランドのグラスゴー選出の議員でしたが、イラク参戦につよく反対したため、労働党から除名されました。たしか、私がイギリスにきた2003年10月のことです。そこで、今回の総選挙では、選挙区をロンドン東部の1つに変え、左翼小政党の連合党であるリスペクトから立候補しました。そして、現職の労働党議員を小差で破って、再選を果たしました。労働党より左の候補が議員に当選したのは、1945年にイギリス共産党候補が当選して以来、60年ぶりのことです。
この選挙区は注目の選挙区で、テレビの開票速報をみていると、深夜2時ころには結果がわかるだろうと、コメントされていました。そこで、眠いのを我慢して、2時まで待ちました。ところが、なにも報道がありません。そこで、とうとう寝てしまいました。後できくと、早朝5時ころまで、確定しなかったそうです。右の写真は、当選直後に支持者に担がれて、祝福されるギャラウェイ議員です。
ちなみに、イギリスの選挙結果の発表は日本とまったくちがいます。選挙区の選挙管理委員会が候補者全員の得票を確定した後、開票場に待機している候補者にそれを内示します。その上で、発表用の壇上に候補者全員を後ろに立たせて並べたうえで、聴衆の前で、委員長(?)が各候補者の得票を発表し、当選者を宣言します。ことばは、どの選挙区でもほとんど同じなので、様式が決まっているのでしょう。そこで、当選者は、短い挨拶を述べます。発表文を用意して、読み上げるヒトもいれば、ギャラウェイ議員のように、迫力あるブレア批判演説をする人もいます(翌日のニュースで繰り返し流れました)。なお発表も、ウェールズ地方の選挙区では、英語とウェールズ語の両方でおこなわれます。
彼の選挙区は、ロンドン旅行案内書にも紹介される「のみの市」のブリック・レーンのあたりです。バングラデシュ系イスラム教徒の住民が多いところで、その支持を得ました。選挙区の候補者は、彼をのぞいて、すべてがアジア系かアフリカ系の人でした。現職の労働党議員も、アフリカ系の女性でした。そのなかで彼一人が白人候補であり、しかも、顔つきはいかにももスコットランド系という顔です。目が透明に近いブルーです。その彼が、当選しました。上記の写真に写っている支持者も、白人の顔は少数(いない?)です。イラク戦争反対という点で、これらの差異はすべて超克されました。
ちなみに、この選挙区の中心にあるマッチ工場跡は、イギリス労働運動史で有名なところです。1888年のマッチガール・ストライキの工場です。このストライキに触発され、翌1889年に、隣接地のドック地域でドック・ストライキがおこり、不熟練の労働者が勝利し、世界史上初めて「一般組合」という形態の労働組合が成立します。マッチ工場跡は、私も「観光」でそばを通ったことがあります。ギャラウェイ候補の選挙活動をした青年と話していて、それを偶然に教えられました。かれは、リスペクトを構成する左翼小政党の党員です。上記の写真の新聞はその機関誌特集号で、これも彼rからもらいました。